ゲームにおけるグラフィックの進歩は勢いがすさまじく、20年前はかろうじて3Dの表現をすることが可能だったのに対し、現在では実写と見間違うほどのグラフィックを表現できています。
プレイヤーが操作したりプレイヤーの仲間や敵となるキャラクターだけでなく、岩や木、草といった自然物と箱やベンチ、建物といった人工物に至るまで全てのグラフィックが進化し続けています。
特に重要なのがテクスチャーで、現実の塗装業界にも通じるものがあります。
ゲームのテクスチャーはこの十年で大きく進化
近年のゲームは3Dグラフィックが主流で、いかに実写に近い画像や映像を作り出すかという点に力が注がれています。
3Dグラフィックの作り方は十年前と現在で大きく変わっておらず、ポリゴンで立体モデルを作り、そのモデルにテクスチャーを貼るのです。
たとえば、丸い立体モデルを作ったあとに赤色のテクスチャーを貼れば赤いボールになり、そこに重さや重力、衝突判定などの処理を加えてボールが誕生します。
作り方が変わっていないにもかかわらずグラフィックが進化したのは、高精度なテクスチャーを生み出すことが出来るようになったことに加えて、ゲーム機やパソコンで画像処理することが可能になったからです。
ゲーム機やパソコンのスペックが向上したことでテクスチャーに使える色数や大きさに自由さが増し、現実と同じようなオブジェクトを表現することが可能になりました。
そこに光源処理や物理演算を加えることで、現実の世界を歩いているようなグラフィックが完成するのです。
現実のテクスチャーともいえる塗装業界
ゲームにおけるテクスチャーを貼る処理とは、既に存在する立体モデルに色を塗ることに近い処理です。
これは現実の塗装と同じことで、たとえば家の外壁を塗装することはテクスチャーを貼っていることと同じだと言えます。
しかし、ゲームの場合は色の指定や範囲の指定を数字で行うデジタルな処理ですが、現実の場合は塗装業者が経験と技術の蓄積によってアナログで行うことになります。
特に、色の指定においては業者の実力がよく分かる処理になり、既存の塗料を使うだけでなく複数の塗料を混ぜ合わせて新たな色を生み出すということも行われているのです。
また、一部の工場では塗装の効率化についても研究が進められていて、より塗りやすく剥がれにくい塗料の開発が行われています。
現実の世界ではキャラクターや自然物に塗装することはありませんが、人工物に塗装することは頻繁に行われていて、職人たちが現実のオブジェクトにテクスチャーを貼っているのです。